第6章 【R18】付き合ってみた×銀八
「オイ……お前、マジでか」
黒板の前に立つ銀八は心底呆れたと云う顔で言った。
「高三にもなって活用形ひとつ答えられねェとか……もう、何…馬鹿なの?死ぬの?」
教師兼彼氏とは思えぬ酷い言いように顔を顰める私。
机上に置かれたプリントには“猿でも分かる古文”と書かれている。
たった十問の解答欄は未だ空白だらけで、最後まで共に残っていた筈の晋助も先に帰ってしまった。
何が夏期講習だ。
くそったれ。
私は心中で悪態をつきながら机に突っ伏すのであった。
『もうやだ、帰る』
「それ言うの何回目だお前コノヤロー」
終わるまで帰さねェってんだよ。
銀八はチョークを放り投げつつ大きめの溜息を吐く。
「普段から真面目に授業受けてりゃイイもんをよォ」
『だって銀八の授業つまんないし』
「……テメェ」
明らかに苛立った声。
キンッとライターを弾く音。
嗅ぎ慣れた不良教師の煙草が鼻を突いて、私はむくりと顔を上げた。