第4章 【R18】食べさせてみた×高杉
夏の熱さに当てられたアイスクリームはみるみる内に溶けていった。
固形物と呼ぶべきか。
液体と呼ぶべきか。
どちらが正しいのか微妙な見てくれになった辺りで高杉さんは声を漏らす。
「邯鄲の夢、か」
『氷菓子と云うもんは誠に短き命でござんすね』
何となしに私が言うと、高杉さんは悲しげな瞳を返して呟いた。
「……人も同じさ」
戸惑いを隠せずに彼を眺めていると、急に普段の調子を取り戻して高杉さんは笑う。
私の手中にあった筈のアイスは既に彼の下へと奪い去られていた。
「お前さんにも食わしてやるよ」
悲哀の色を隠す無理やりな笑み。
一体その心にどんな闇を抱えていると云うのだろうか。
しかし、と私は思う。
彼が明かしたくないのならそれでいい。
愛しい人を悦ばすことに全力を尽くせ。
それこそが遊女の通す仁義ではないか。
そう、想うのだ。
『では……かような食し方は如何でござんすか…?』
色香たっぷりの流し目。
持てる技術の全てを使って彼を誘う。
私は高杉さんからアイスの入った椀を奪い返すと、はだけられた胸元に向かってそれを傾けた。