第4章 【R18】食べさせてみた×高杉
見世の二階に上がって襖を閉めると、部屋に暗闇が広がった。
行燈にそっと火を灯す。
すると浮かび上がるのは金色に煌めく夜の蝶。あまりの艶やかさに思わず見惚れてしまう。
『ぬし様……ちょいと』
普段ならここで互いに酒を注ぐのだが、私はそれをせずに高杉さんの着物を引っ張った。
「クク……何だ、内緒話か?」
『へえ、大した事じゃありんせんが』
悪戯な笑みを見せる私。
彼もまた楽しげに耳を寄せている。
『……今宵はちと趣を変えた戯れを用意しんした』
私は唇をわざと触れさせて囁いた。
顔を離した高杉さんはこの上なく気分が良いと云った様子だ。
「そりゃァ……また、一体どんなお遊びなのかねェ」
紫煙が端正な顔の前で踊る。
肘掛けに体重を預けて此方を見る隻眼は、まるで幼子のように輝いていた。
私はその瞳を見つめ返して言葉を紡ぐ。
『異国の氷菓子でありんす』