第3章 【R18】ビビらせてみた×ジャン
ピシャー……ッン‼︎
「ぎゃあああ‼︎」
突如として耳を劈いたのは落雷による轟音と馬の嗎……ではなく、ジャンの悲鳴だった。
随分と近くに落ちたらしい。
林道の方を見やると11時の方角で白煙が上がっている。
きっと、落雷を受けた木が火でも吹いているんだろう。
私は漠然とそんな事を考えていた。
ジャンにしがみつかれた状態で。
『あの……苦しいんだけど』
しがみつく、と云うよりは抱き締めるに近い体勢のジャン。
男物のコロンがほのかに香る胸板を押し返すと、ジャンは慌てて身体を離した。
「わ、悪い…つい咄嗟に…その、」
ジャンはそこまで言って口をつぐんでしまう。
気まずい沈黙。
降り頻る雨の音。
互いに一言も喋らぬまま、どれ程の時間を過ごしただろうか。
「………」
『………』
「……あのさ」
『……っ』
長い沈黙を破ったのはジャンだった。
ビクリと肩を揺らす私の手には彼の掌が重ねられている。