第3章 【R18】ビビらせてみた×ジャン
「こんな時間に何してんだよ」
『それ、こっちの台詞』
ジャンとは以前から折が合わなかった。
恐らく彼も居残りをしてたのであろう。
憲兵団希望の訓練兵は確か、階下の講義室で“経済学”を学んでいた筈だ。
「あァ……?」
『何よ。なんか文句ある?』
口を開けばいつも喧嘩ばかり。
まともに会話した記憶なんて遥か彼方に置き去りにされてしまっている。
「お前、ほんと可愛くねぇよな」
『あんた、マジで顔長いよね』
相も変わらずお約束の口喧嘩を繰り広げようとしていた、次の瞬間。
カ……ッ‼︎
目の眩むような雷光が空を割った。
直後に馬鹿デカい轟音が鳴り響く。
鼓膜が破けるんじゃないかと思う程のボリュームに思わず耳を塞ぐ私。
つい3秒前まで憎まれ口を叩いていたジャンは、何故か腹を抱えた態勢で縮こまっている。
『え……何してんの…ジャン』
私の声にハッと顔を上げる馬面。
その頬は心無しか桃色に染まっている。
『まさか……雷が怖い訳?』
ほぼ確信しながらも敢えて問うた。
今にも零れそうな爆笑を抑えて。