第3章 【R18】ビビらせてみた×ジャン
とある日の座学訓練後。
古びた木造建築の軒下に私は居た。
『あちゃー』
曇天から降り注ぐ大量の雨。
地面に跳ね返るそれはバタバタと騒がしい音を立てている。
私は小さく息を吐いた。
こんな土砂降りじゃ兵舎に帰れない。
『居残りなんてしなきゃよかった』
雨に向かってポツリと呟いた。
胸に抱いた“生態学”のレポートは夕立ちによる湿気でグニャリと折れ曲がっている。
そんな時だった。
鉛色に染まる空を一筋の稲妻が駆け抜けたのだ。
ピシャ…ッ ゴロゴロ…‼︎
「ひぃ……っ‼︎」
地を揺らすような雷鳴。
微かに聞こえた男の声。
私は声の方を振り向いて、即座にその行動を後悔する。
『げ……ジャン』
見覚えのある兵団パーカーにピンクベージュの短髪。
声の正体は紛れもなくジャン・キルシュタインで。
一番会いたくない奴に出会してしまったと、私は苦虫を噛み潰したような顔をするのであった。