第2章 【R15】閉じ込めてみた×土方
どれ程の間そうして居ただろうか。
故障か。
何者かの策略か。
いずれにせよ電気系統全般がイカれたらしい暗闇の機内は気温が上昇しつつあった。
「……暑ィな」
『そ、うですね』
じわり。
ただ立っているだけで額に汗が滲む。
それは土方さんも同じらしい。
ワイシャツ越しに伝わってくる熱気は発汗による物なのだろうと、どうでもいい考えが頭に浮かぶ。
『……あの』
「あァ?」
『もう、大丈夫ですから』
先程まで私の首を締め上げていた腕は今や優しく抱擁するそれに変わっていた。
今更頬を染めつつ硬い筋肉を押しやろうとするが、土方さんは何故か離してくれなくて。
『ひ、じかた……さん?』
弱々しく問うてみれば耳元に吐息混じりの声が返ってくる。
「もう少しだけこのままで居させて」
『……‼︎』
普段は乱暴で、口が悪くて。
威圧的な喋り方しか知らぬ人だと思っていた鬼上司。
そんな彼が放つ甘ったるい台詞は、低く掠れた声と相成って私の耳を犯すのであった。