第1章 降って湧いた妖精?
「あんた、誰!!」
「……少なくとも幽霊じゃないぞ」
ため息混じりに男は睨みをきかせる。その仕草だけで魅惑的だから不思議だ。
幽霊ではない事実に蓮の肩の力が抜けたのがわかった。
「姉さん。取り合えずここは、警察呼ぼうか、お隣の青木さん呼ぼうか、どっちがいいかな?」
どちらも正しく無い気がした。なんでって、男の背中には…
「なんか生えてるし!?」
虫の羽のように薄い翼が生えていた。
男は更に目を細めて、面倒くさそうに頭を掻いた。
「俺はルビーの精霊。一般的には妖精みたいな感じか?まあ、そういうこと。お前の手にしてる箱の中から出てきたんだ」
ぶっきらぼうな説明に唖然とする。
妖精?ナニそれおとぎ話の見すぎじゃないの?
手に握ったままの古い箱を見つめる。
んな馬鹿な。