第7章 言い訳の後は……
「ああ、そこは」
ディスプレイとにらめっこする姿を可愛いと思いながらは背後に周りデスクに手をついて耳元で指示をする。大抵の女性はの低音の声が好きだっ た。
「……という風に」
「なるほど~、ありがとうございます」
にっこり。花のような笑顔にのほうが少し赤くなってしまった。 これは本当にタイプだ。
「わからないことがあったら、すぐに聞いてください。遠慮せずに」
「はい。ありがとうございます」
浮かれていたは気づかなかった。 この時様子を眺めていた高杉が、 珍しく何も言ってこなかったということに。
「、今日何か予定あんのか」
「は?」
帰り際、高杉に声をかけられは間抜けな声をあげた。高杉に夜の予定を聞かれるなど珍しい。幸い今日は誰とも会わない。
「何もありませんよ」
「じゃあ少しロビーで待ってろ、すぐ行く」
「? はあ、わかりました」
目的は読めないが鬼上司の誘いを断るわけにもいかず、何だかんだ言いつつ好きなので素直にロビーに向かった。 少ししてから高杉もやって来る。
「お前車か」
「はい」
「じゃあ今日は置いてけ」
「はい?」
訝しむに、高杉が車のキーを見せる。
「俺の家行くぞ」
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「……てか俺が高杉さんの後ろついていけばいいだけだったんじゃないですか?」
「面倒だろ」
「いや、明日の朝とか電車んなっちゃいますし」
「泊まってきゃいい話だ、俺が送る」
高杉の住む高級マンションに着き肩を竦める。
さっぱり高杉の考えが読めない。 確かに他の部下より高杉と仲が良い自覚はあるし気に入られているからこそ叱られることが多いのだとも思うが、それにしても泊まれとはまた唐突だ。
「いきなりどうしたんですか高杉さん、何か仕事の話しとかですか?」
「それもある」
なら他は何だというのか。 高杉の部屋に入りその広さに驚きながらも、 は勧められるままソファーに 腰をおろしスーツを脱いだ。
男の一人暮らしだというのに綺麗にしてある。高杉の性格が表れているようだ。 座って待っていると高杉がワインを持ってきた。それを見てはう、と眉を寄せる。
「……俺アルコール弱いですよ」