第7章 言い訳の後は……
「んなこた知ってる、別に潰れても構わねえから飲め。弱くても好きなんだろ」
それは事実だ。味は好きだがすぐにヘロヘロになってしまうためあまり飲まないようにしているだけ。
このために泊まれと言ったのだろうか? はてそんなに部下想いだったろうかと内心首を傾げながらはグラスを取った。
「じゃあ、遠慮なくいただきます」
「ああ」
と乾杯しグラスに口をつける。
キン、
美味い。高杉のことだ、良いワインなのだろう。は久しぶりのアルコールに喜びどんどん飲んだ。 それが高杉の計らいとは知らずに。
「美味いか」
「はい、すごく」
既にとろんとした目をしているを見て高杉は目を細める。
「……そろそろいいか」
「ん?……わ、っちょっ」
不意に立ち上がった高杉がのことを担ぎ上げた。
はボーッとする頭でもわかるその状態に慌てて高杉にしがみつく。
身長は大して変わらないというのに、百八十もある男をよく担げるなとは感心してしまった。
あれよという間に寝室らしき部屋に入りベッドに投げられる。
「ッわ」
「お前もう少し食え、細ぇんだよ」
「食ってますし言うほど細くないですよ、高杉さんがマッチョなだけじゃ ……ってちょ、」
シュルッと抜かれたネクタイで腕を拘束された。アルコールが回っているせいで判断力が鈍っている。
ここは本来全力で逃げる場面だ。 にも関わらず、
「高杉さん? どうしたんですか」
間抜けな質問である。高杉は薄く笑いのシャツを脱がせた。
これにはさすがにも焦る。
「ちょっ高杉さん何すんです、」
「言ったろ、直らねえようなら強制的に直すって」
女好き、と耳元で囁かれビクッと震えた。
何だろうか、身体が熱いとはとろけた目を高杉に向ける。
高杉がクツリと喉で笑った。
「んな目で見んじゃねえよ」
酷くするぞ、と呟く高杉の顔は、鬼の上司ではなく欲情した一人の雄の顔だった。