第7章 言い訳の後は……
「では、失礼致します」
頭を下げ、長身の二人の男が部屋から出る。 エレベーターで下の階に降りビルを出ると、高杉晋助は部下・の頭をひっぱたいた。
「ッてえ!」
「てめえまた女社員に色目使いやがって」
「ハア!? 言いがかりですよ」
言いながら、頭の中ではしまったと思う。
はかなりの女好きで、仕事とあっても好みの女性がいると意識がそちらに向いてしまう。仕事自体は出来るためあまり問題ないように思えるが、社内では女性社員を口説いたり他社に行っても人目を盗み陰で……ということもあり、上司の高杉は頭を悩ませていた。
「まだトラブってねえからいいが、そうなってからじゃ遅ぇんだよ」
「いや、何もヤってるわけじゃないですし別に声かけるくらい」
「お前がそういう軽い気持ちでいるのが問題なんだよ」
「はあ……そう言われても」
可愛くて綺麗な女性に声をかけずしてどうするんだと思う。
そんな会話をしながら歩いている今も、 二人を見て頬を染める通行人の女性たちに愛想良く微笑みかける。それを呆れながら見て、高杉は「ったく」と呟いた。
「あんまり直らねえようなら、俺が強制的に直すからな。覚悟しとけ」
「俺が狙った子食い散らかすとかですか?」
「それくらいじゃ全然だろお前」
「はい」
平然と言うにため息をつき、
「……もっとひでえよ」
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事が起きるのはわりと早かった。
「今日からこちらに配属されました、 よろしくお願い致します」
うわ、すげえタイプ
新しく入ってきた女性社員の自己紹介に拍手をしながら、はラッキーとほくそ笑んだ。ふわふわとしたボブショート、自然な茶髪。背は小さく目はくりくりと大きく、声は優しげ。まさにの好みだった。さらに席はの隣ときた。ついていると思いながら愛想を振り撒く。
「 です、よろしくお願いします」
「さん、ですね。よろしくお願いします」
緊張しているのか少し赤くなりながらにこ、と笑いかけるその様子も可愛らし
い。 仕事を始めるとその女性社員がちょんちょんと肩をつついてきた。
「さん、早速で申し訳ないんですがここ……」