第6章 キスをして
ぞく、としたものが腹のあたりを駆け巡った。
ここまできてしまったらどうにもならない。 それに、もしかしたら、新八も俺のことをどこかで――
そんな、淡い妄想も理性によって壊される。
「…」
「……後悔しても、知らねえからな。俺は」
グチ、と腰を動かすと新八の目が細められ吐息が漏れた。
その妙な色気にあてられ本能のままに腰を動かす。
新八も自ら動いて自分なりの快感を得てい た。
が上に乗る以上そうでもしなければ新八は動けない。
「あッあ゛あ、はあ、ッあ゛ぁ、ッ」
「ッあ、はぁッ、新八、好きだっ」
「んあ゛あッ……ひぁっ…イくっ…!」
ビクビクと身体を震わせる新八の中に何度熱いものを吐き出してしまったかわからない。 次第にお互いぐったりとして、最後には縺れるようにしてベッドで眠り込んだ。
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「……れ……」
チュン、という鳥の鳴き声を耳にし、新八はゆっくりと目を覚ました。
乱れたシーツ、腰にくる激痛に重い身体。 は、と部屋を見渡すがいなかった。
下の階におりてみるとの母の姿があり思わず姿勢を正す。
「ッ、お、おはようございますっ!……」
「? あ、新八くん久しぶりね~。おはよう、ごめんねえ、昨日泊まったんだって? 朝に聞いて初めて知ったわあ、私昨日は遅くなっちゃって、何にもしてあげられなかったわねえ」
「いや全然大丈夫です……あの、は、」
とは家族ぐるみで小学生からの付き合いである。
訊ねると、の母は「え?」と首を傾げた。
「何も言わないで行ったのお? ちょっと前に大学行ってくるって出ていったけど」
「大学……」
今日は午後の遅い授業のみのはず、出ていくにはまだ早い。
新八は急いで自分の家に戻るとシャワーを浴び、着替えて大学に向かった。電車に乗り、駅につくと走って大学へ急ぐ。
……
――『……新八ッ……好きだっ』
昨晩のの顔と声が焼き付いて離れない。
クソ、とに電話を掛ける と、案外あっさりとが出た。