第6章 キスをして
電車に乗り、駅を過ぎるうちに二人になり、地元の駅で降りて何気なく空を見上げる。綺麗に星が出ていた。
「……大丈夫ですか?」
「ちょっとマシになってきた……かも。けど家まで送ってくれよ」
「わかってますよ、どーせ通り道だし」
夜風に吹かれながらゆっくりと歩く。
が静かだと落ち着かないな、と思いながら新八は頭を掻いた。
腐れ縁も長くなると、いつもと違う何かが気にかかるものである。
宅前に到着し、「じゃあ」と新八は声をかけた。
「……とっとと寝てください。じゃ」
「おい新八」
「……?」
キィ、と玄関の門を開け、月明かりに照らされたが薄く笑う。
「上がってけよ……久しぶりに」
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「帰る」と振り切って帰ろうとしたところ、に腕を掴まれ無理やり家の中に連れ込まれた。
体格差と純粋な力の差で敵うわけもなく、不本意だがされるがままに、呆気なく二階のの部屋へと引きずり込まれてしまった。
何かがおかしい。いつもと違う。
「ちょッ! 何のつもりですか!」
「るせえな」
黙れよ、と塞がれた唇に目を見開く。
思わず抵抗を止めて硬直した。
――とキスしてる? ――何でだ、 ぐ、と腕を掴むが構わず腰を抱かれベッドに押し倒される。
舌まで入ってきて、新八は未知の感覚にビクッと身体を跳ねさせた。
「ッ、う、ぷあ、は、ッ……!?」
「……ファーストキス?」
ぺろ、と唇を舐めて愉快げに笑うにカアッと顔が熱くなる。
混乱と怒り、僅かな羞恥。
「ッの……ッお前ッ、酔ってんでしょッ……! こんな、」
「酔って、こんなことしてたら、キリねえだろ……本気だよ」
新八に馬乗りになったまま、ぷち、ぷちと自分のシャツのボタンを外すに目を見張った。
――こいつは何しようとしてる?
全身の筋肉が固まったように動けなくなってしまう。
シャツのボタンが外れ晒されたの肌、男らしく筋肉のついた腹から胸へとが掴んだ新八の手が辿る。
意思のない指先が淡い色の胸の尖りを掠めた。