第3章 マヨのお仕置き
覚悟…そうだ、散々居眠りはするなと言われて、寝てたんだから…土方さんの言うとおり、正座じゃ済まないだろう。
「えっと…できたら…クビは嫌です。切腹も… 」
うちの親父はヒラ役人で、俺は幸いにもそれより剣才がほんの少し上だったから、ココに居る。
なんだかんだで、ウチでは出世頭なんだ、 ココではヒラでも。
クビにされたら…多分…ウチでもタダじゃ済 まないだろう。
「クビ…か、まぁ、今回は事故を起こしたわけ でもないからな…」
勘弁してやるよと呟いて、タバコに火を点けた。
「減俸と始末書も…まぁ…書類どうこうすんの も面倒だからな。反省してるなら勘弁してやる」
「してますしてます!」
「そうか、じゃあ…」
俺の言葉に、土方さんは紫煙を噴かせると、点けたばかりのタバコを灰皿に押し付けた。 そして…
何故か、手が伸びてきた。
何故か、首を抱きこまれた。
何故か、呼吸が出来なくなった。
数秒して、口付けられていることに、気がついた。
「ぬ…むぅッ?!」
慌てて、俺はその肩を掴んで押し返そうと する。
「んッく、ぅ…」
あっという間に舌を絡め取られて、ヌメル感触が口内を行き来する。
「ふっ、んんっ…く」
塞がれているのは口だけだが、鼻だけで、 刺激を受けながらの呼吸というのは、あってないようなものだった。
酸欠か、それとも他の感覚か、徐々に力が入らなくなることに気がついた。
押し返す気で出したはずの手は、筋力差で押し負けて、結局その肩に爪を立てているだけだった。
それどころか、呼吸が苦しくなるにつれその手も縋るだけになり、絵面としては、まるで抱き寄せているように見えた。
「はっ、ふっ、んぁっ」
そこからはされるがまま、熱いぬめったものが自分の意図しない風に自分の口の中で蠢動し、やがて、肩の手にも力を入れられなくなった頃に、俺はようやく解放された。
「はぁっ、はぁっ」
過呼吸になるんじ ゃないかというほどに酸素を取り込む。