第13章 君と一緒っっ!
ラブホテルには入った。お風呂にも入って…それからいざってときには神威の顔がチラついて……
言い当てられたは、目を見開き耳まで顔を真っ赤に染める。
「……ヤらなかった、ってこと?」
神威がの肩を掴んで強い口調で聞けば、は恥ずかしそうに小さくコクリと頷いた。
あー、今すぐ抱きしめたい…。
そんな衝動が神威の中を駆け抜ける。
そして神威は、背後にいる部外者のことを振り返り見ながら、ギロリと睨みつけた。
無言、だけど伝わる。 さっさと帰れ、と。
仮にも俺、先輩なわけなんだけどと、睨まれた銀時はポリポリと頭を掻きながら思った。
生意気な後輩にキスさせて満足したし、なにより 可愛い後輩の為。
銀時は黙ってこの場所を立ち去ることにした。
気まずそうに顔を俯かせていると、恐らく銀時がこの部屋を出ていくまで睨み付けるつもりらしい神威。
その横を通り過ぎようとしたとき、銀時が「あ。 」と思い出したように声を上げた。
おもむろにポケットから財布を取り出し、その中に入っていた紙切れを神威に差し出しながら銀時が言う。
「コレ、キスの御礼。宿泊7000円。ごゆっくりどうぞー」
銀時は、その紙切れを神威の手の中に無理矢理捩込むと、それだけ言い残して今度こそ立ち去っていった。
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シャワーを浴びる。その時間さえ惜しくて、神威はバスルームの中でを襲った。
ボディーソープの泡で蕩けるほどの愛撫を受け、 のその唇から甘い声が漏れる。
「んっ、あっ……、神威っ」
「、あのさ…」
「……あぁっ、……へ?」
セックスの最中に突然普通に話し掛けられて、は間抜けな声で聞き返した。
キスの御礼だとか言われて去り際に銀時に手渡された紙切れ。
神威は、一度はぐしゃぐしゃに握り潰したそのラブホテルの割引券を、また再び綺麗に皺を延ばして有効利用していた。
抱きしめたい衝動を抱えたまま、ラブホテルに連れ込んで、今まさに行為の最中。
神威は、わざわざ行為を中断させて聞く。
「なんで、あの女とヤらなかった?」
またその話か、ホント勘弁してよ…と、銀時に聞かれたことにが瞼を伏せながら答えた。