第13章 君と一緒っっ!
ヤリチンと噂される坂田 銀時。 そんな男に惚れたら最後、心も身体もズタズタにされて、用済みになったらゴミのように廃棄され る。
そうなると分かっていても、銀時の周りに女が途絶えることがない。
その理由が、なんとなく分かった気がした。
ハスキーボイスで「慰めてやろうか?」なんて言われて、掴まれた腕が熱くなる。
熱くなる……?
「そんなことあるわけない。」
神威は、そう冷静に呟くと、ブン!と自分の腕を掴む銀時の手を振り払った。
たとえ、が自分と同じように思っていなくても、 たとえ、相手を想う気持ちがズレ始めてきたとしても、
「僕、アイツ以外で勃つ気しないんだよね、いい加減にしないとヤっちゃうぞっ☆」
それでも神威は、以外とは考えられないと思っていた。
キッパリと言い切ったあと、神威は「じゃあ」と続けて、銀時に背を向けた。
…勃たなくても、どうせ入れるのは俺なんだから、そこらへんは問題ないのに
銀時はそう思ったけど、心の中に留めてそれを口 に出すのは辞めておいた。
その代わりに…とばかりに、銀時は個室のふすまに向かって言う。
「だとよ。良かったな、。」
銀時が、ここに居るはずのないの名前を呼んだ。 は?と再び振り返った神威は、銀時の視線が自分には向いていないことに気付く。
銀時の視線は、目の前に立つ神威を通り越して、 神威の後ろに注がれていた。
……まさか……
神威の後ろにはふすま。まさか…!と思いながら、神威は戸を開けた。
突然ふすまが開けられて、そこに突っ立っていた 小柄な男の肩がビクリと跳ね上がった。
視線を泳がせ、まずった…みたいな顔をしたの姿が、神威の目の前に。
「…なんで…?」
今頃ラブホテルで女とヤってるとばかり思っていたが、今神威の目の前にいる事実。
幻覚なんじゃないかと、神威が手を延ばせば、確かに神威の指はの髪に触れた。
「いや…失敗したっつーか、なんつーか…その、… なんていうのかな……」
神威から視線を逸らすように、斜め上を見つめながらモゴモゴと言いにくそうに語尾を濁らす。
そんなの様子を見た銀時が、クク…と笑いを混ぜ込みながら口を挟んだ。
「勃たなかったんだよなー、っ」