第13章 君と一緒っっ!
が女をお持ち帰り出来るかどうか。 そんな二人の賭けが成立した。
神威がと共に過ごしてきた16年間は伊達じゃない。 お互いが乳児の頃から一緒にいた。共に過ごした時間は、親より多いかもしれない。
僕を誰だと思ってんだ。
神威には、のことに関しては、誰よりも知っているという絶対的な自信があった。昔から、は神威のあとを追いかけてくる。 今までに、が神威とは違う道を進むことなん て、一度たりともなかった。ただの一度も。
神威にとっては、その賭けは簡単過ぎた。 迷うことなく、神威がどちらに賭けるかを口にし ようとしたところで、銀時は神威の唇を人差し指で抑えた。
「本当に、それでいいのか?」
「何が言いたいんだよ」とでも言いたそうに目を据わらせ始めた後輩を見て、銀時は生意気に育ったもんだと笑った。
「お前が考えているのと同じように、も考えてるかもしれないぜ?」
そう言葉を繋げた銀時の瞳が、神威を捕らえた。神威は、以外とはヤりたいとさえ思わないと考えていた。
それと同じように…も?
揺れはじめた神威の心に、追い打ちをかけるように銀時が口を開く。
「それとも、自分のテクに自信がない、とか?」 唇をペロりと舐めた銀時が、神威を試すように笑ってみせた。
これは挑発だ。判りやすい部類の。
けど、挑発だと分かっていても……
「は、お持ち帰りしないほうに賭ける。」
次の瞬間、神威が口にした答えはそれだった。 それは、賭けというよりは願い。
「OK。じゃあ俺は、がお持ち帰りするほう に賭ける。負けたらには手を出さない。」
神威の言葉を聞いた銀時は、その顔に薄く笑みを 張り付けながらそういうと、脚を踏み出して神威に近付いた。
「その代わり……」
言いながら、神威の耳元に顔を近付けた銀時が、 囁くように言葉を続けた。
その代わり…に続くもの。
耳元で囁かれた神威には、それがよく聞き取れ た。
瞬間に、ゾワゾワ!と全身に寒気が走り、慌てて耳元を抑え一歩退いた神威。
瞳を大きく見開いた神威が、銀時の顔を見た。
「な……」
なんて悪趣味な野郎だ、と言おうとしたのに、言葉にならない。