第13章 君と一緒っっ!
その様子を見ながら、神威はテーブルの上のフラ イドポテトへと手を伸ばす。
そして、神威がフライドポテトを口へと運ぼうと したときだ。
神威の視界に入ったのは、が便所で一生懸命セットしていた髪をガシガシと撫で乱す、銀時の手。
「…………」
確か、合コンに来る前、自分がの髪に触れようとしたときは、「髪型崩れるから辞めれ!」と手を払いのけられた。
……アイツには触らせんのかよ、
神威の手が、持っていたフライドポテトごと ギュッと握られる。
それだけでも腹が立つのに、更に神威を腹立たせる光景を見てしまった。
意味ありげな、アイコンタクト。
そりゃあもう、の表情は嬉しそうで……
神威のイライラは段々と蓄積されていくけど、 テーブル向こうの達はなんだか段々と和やかな雰囲気になっていく。
……銀時のおかげか?
合コンの度に、女の番号すら聞くことが出来ない は、「童貞王!」とか言われてからかわれたりしていた。
けど、今回は……
ひょっとしたら、今夜アイツは……
神威が心の中でそんなことを考えていたら、隣りから声をかけられた。
「神威くん?手、大丈夫……?」
学園のマドンナが、心配そうな顔をして言う。
ようやくそこで、神威は自分の手がポテトまみれ になっていることに気が付いた。
「…あー、ちょっと、手洗ってくるよ…」
ペコリと頭を下げて立ち上がった神威は、ポテトまみれになった手を洗いにいこうと席を立った。
どうせ今回も、女を持ち帰れなかったを慰めてやることになるだろう。 そう思っていたのに……
便所へと続く通路を歩きながら、神威は小さく呟 いた。
「……はぁ……」
女と上手く行ったら、自分とはもうヤってくれないかもしれない。
神威は、手を洗いながら、ぼんやりとそんなことを考えていた。そんな神威の背中に、声を掛けた人物がいた。
「よう、神威くーん」
名前を呼ばれた。 だけど、神威は振り返ろうとせず、そのまま手を洗い続けた。
独特の色気あるハスキーボイスを聞けば、振り返るまでもなく誰だか分かる。振り返ることも、返事をすることもない神威の背中を見て、かは口角を上げた。
「ほんっと、お前は昔っから生意気な後輩だよな」