第13章 君と一緒っっ!
神威は、忘れたわけじゃなかった。
銀時がの頬を舐めたのを、この目でしっかりと見たんだ。
自分に追い付こうと必死に頑張るを、おとなしく応援しようと思っていた、ついさっきまでは……
だけど、銀時の名前を聞いた神威は気が変わってしまった。
「……僕も行くよ。」
次の瞬間には、神威はにそう告げていた。
「は?なんでオマエまで来るんだよっ!駄目! 絶っ対駄目!」
いきなり自分も行くだとか言い出した神威には焦る。
折角お前に追い付こうとしてるのに、お前まで来たら差が縮まらねーだろっ!!
の心の中はそんな感じで、必死に許否しようとしたけど、神威の意志は固かった。
は隙がありすぎる。
そこがの可愛いところだとも神威は思っていたけれど…、
甦るあの光景。 の身体に他人が触れた。
思い出すだけで腹が立つ。
「駄目だ、絶対行くよ……」
隙だらけなんだから、僕が見張ってやらないと……
二度と触れさせるか。神威の意志は固かった。
の猛烈な反対を押し切って、やっぱりついてきた神威。
合コン会場である居酒屋の座敷で、ニヤニヤしながら陣取っているその男を見た瞬間、神威は思わず舌打ちをした。
「よう、やっぱり来たか、神威」
銀時のその口ぶりは、神威がここに来ることを知っていたかのよう。
昔っから、余裕ぶっていて、なんでもお見通しみたいな態度で、は中学の頃からめちゃくちゃ懐いていたが、神威は違った。
話し掛けられたのをおもいっきり無視した神威。
「…………」
先輩向かって、なんなんだその態度は!と、隣にいたは、そう思いながら神威の代わりに答えた。
「すいません、コイツ。どーしても行くって聞か なくて!」
「いーや?いいぜ。お前呼べば、どうせ神威も来ると思ってたから、神威狙いの女も呼んでるし」
銀時は、ふんふんっと鼻歌を歌いながら、 「なぁ、神威」と、神威に意味ありげな視線を送りつける。
いちいちムカつくんだよ…と心の中で呟いた神威は、銀時が座る場所から一番遠い場所に座る。
そして自分の隣にを座らせようと、神威がを呼ぼうとした瞬間、
「お前ココな」
銀時に、紙一重で先を越された。