第13章 君と一緒っっ!
「……断ってよ、合コン。」
ヤりたいヤりたい。 とヤりたい。
密着した身体から、そんな神威の気持ちがにも伝わってきた。
一瞬、きゅん!となって、合コン、断ってしまおうかなんて考えが横切ったけど、は頭をブンブンと横に振ってその考えを追い払った。
「無理…。今日の合コンに、俺は勝負掛けてんだから」
揺るがない。 流されない。
今日のは、一味違った。
つれない。
がつれない。
阿伏兎がのことを「童貞」と罵ったあの三日前から、の気持ちに変化があったことを神威も気付いていた。
昔っから、は神威のやることなすこと真似ばかりしていた。
神威がプレステを買えば、もプレステを買い、 神威がそろばんを習えば、もそろばんを習い、 神威が彼女を作れば、も彼女を作った。
そんなだから……
きっと、俺と同じように童貞卒業しようとしてるんだろうなー…
神威はそう思いながら、抱き寄せていた肩から腕 を離した。
自分の後を追いかけようと必死に頑張るは、神威の目に可愛く映った。
「ま、そういうことなら、頑張って、合コン。」
気持ちは複雑、だけど応援してやることにした神威は、そう言いながらの肩をポン!と叩いた。
軽くの肩を叩いた神威の手は、温もりさえも残さないほどあっさりと引っ込められ、の気持ちもまた複雑だった。
「で、メンバー誰?主催はまた阿伏兎?」
神威らの周りで行われる合コン。そのほとんどの主催が、面倒見のいい性格からかやたらと女友達の多い阿伏兎だった。
今回もどうせ阿伏兎だろうな。
そう思いながら聞いた神威だったけど、
「……あー、なんか阿伏兎は機嫌悪いから合コンなんかヤりたくねーんだとさ、……だから、」
の口から出された名前はカナリ意外な名前だった。
「銀さんにお願いしたんだ。」
銀さんと言えば、中高と同じ学校の先輩で、が一番懐いている先輩でもあった。
天性のタラシの銀時がに手を出したのは、ついこないだのこと。そんなことにも、気づかないには、ほんとに困ったものだ。