第11章 勝つためには……?
相手がどこに逃げるかをも予測しているのか、逃げても逃げても、絡み付いてくる舌の動きは、土方の追い込みのやり方に似ている。
「……ん……」
が、つい気持ちよくなって声を漏らしてしまったところで、口内を侵していた土方の舌が離れた。
がしまった!と思ったころには、もう遅くて、真ん前には鼻で笑う土方。
「何?お前、感じてんの?」
馬鹿にしてるとしか思えない土方の言い方に、の血圧が一気に上がる。
は、顔の横にあった枕を掴み、目の前で勝ち誇る土方の顔目掛けて投げつけた。
「んなわけねーだろ、ボケ!何言ってんの!?お前っ!」
こう言えば、単純バカななら枕を投げ付けてくるだろうなっていうのは簡単に予測出来た。
土方は、投げられた枕を左腕で弾き飛ばし、あいている右手で、枕を投げつけてきた手癖の悪いの手首を掴んだ。
安い挑発に簡単に乗ってくる。
きっと対戦相手からすれば、扱いやすいに違いない。と、土方は思った。
「…はっ、そうやって闘いの最中も簡単に相手の挑発に乗って逃げられてばっかだもんな。」
言いながら、土方はの首筋に顔を埋めた。
首らへんは、の弱点で、土方の吐息がかかるだけで、その身体をよじらせた。
首筋を舌でペロリと舐められ、指で胸元を弄られ、はまた声を漏らした。
「…は、ぁ…」
そのことを言うのなら、にも言いたいことがある。
毎回毎回、闘いの途中に『体力の温存』とかで必ず下っ端に戦わせる土方。
そんな土方に、「戦一つ分ぐらい、気合いでやり切れ!」と言ってやりたいに、は言うことが出来なかった。
単純だから、それよりも目先の快楽に溺れることを優先した。
が下に視線を向ければ、上目遣に自分を見る土方の瞳がそこにはある。
その瞳も、触れている唇も指先も、重なった身体に伝わる体温も、
全部、全部、が嫌いとしている土方のモノ。
いつも一人大人びてるのとか、偉そうに説教してくるのとか、もう精神的に受け付けない。