第11章 勝つためには……?
こんな調子で口喧嘩が始まるのは、いつものパターン。もう、ほかの隊員も仲裁に入ることさえしないほどのお馴染みのことだった。
個々の実力は、確実に相手を上回っていた。
なのに、なぜにげられたか?
この二人のチームワークの悪さが、今回の事態に繋がったんだろう…と、他隊員一同は考えていた。
ようするに、相性が悪いんだ。
電車がホームに到着しても、と土方の口喧嘩は止まらない。 疲れきっていた他の隊員は、二人の喧嘩を止めることもせず、そのまま電車に乗り込んでいって…
と土方は、仲良く駅のホームに置き去りとなった。
頭を使った冷静な剣使いが売りの土方。身体能力と体力任せな武術が売りの。
スタイルが違えば、性格も違う。
土方からすれば、単純で天然バカな性格のとは馬が合わなくて、
からすれば、気難しくて冷めた性格の土方とは馬が合わなくて、
性格の不一致。 とても深刻な問題を二人は抱えていた。
「あー。テメェのせいで、電車行っちまったじゃ ねぇかよ」
ポツンと駅のホームに取り残された二人。
「…人のせいにすんな。つか、てめぇが車ぶっ壊したからみんな電車になったんだよ。この馬鹿力」
なるべく、目を合わせないようにしながら会話する2人。
「テメ……」
一瞬、頭に血が登りかけたのを、なんとか耐えた は、空気を吸って気持ちを落ち着かせてから、土方を見た。
ベンチに腰かけ脚を組む土方は、妙に大人びていて冷めていて、それがには気に入らない。 絶対に友達にはなれないタイプ。
だけど、
剣は上手いんだよな…。
目の前に立ち人の顔をジロジロ見てくるは、 単純でバカでガキっぽくて、それが土方には気に入らない。 絶対に友達にはなりたくないタイプ。
だけど、
武術だけは上手い。
闘いに関してだけはお互いを認め合っている二人。 コイツと組めば、なんの事件も解決に導くいいコンビになれるって、そんなの周囲の人間に言われるまでもなく分かっていた。
また来週には、異国との交流を兼ねた戦がある。
交流とはいえ、闘いは闘い。
強くもねぇ奴なんかに、負けたくねぇ…
だけど、今のままでは、確実に負ける。 土方は、電車が去っていったほうを見つめながら拳を握った。