第11章 勝つためには……?
ここはお江戸、有名な新鮮組と忍者のそれは大変仲が悪い2人がいた。
1人は、鬼の副長と呼ばれ、クールな性格に端正な顔立ちの土方 十四郎。
ミスの少ない正確な刀さばきと磨き上げられた技とで、なんとも厄介な組を一人で勝ち上がらせたという話は、結構有名な話。
もう1人は、可愛い顔立ちをしている裏腹感情的になりやすく、頭が足りないのがたまに傷、忍びの番犬と呼ばれるのが 。
持ち前の運転能力とそれを活かした直感的な武術とで、とある夜兎族の一部の組を一人でぶっ潰したという話は、結構有名な話。
新鮮組の鬼の副長と、殺し屋且つ忍者。
一度、戦場で会って戦った仲の、そんな二人が上から同じ指令を受け、協力して事件を解決する………はず。
即戦力の有力な二人が揃って、「土方と、最高最強のコンビになるに違いない」と、新鮮組全体が二人の活躍に期待した。
それから一年の月日が流れて、土方とは未だに同じ事件に手こずらせていた。
その日、隣町にある組との聞き込みを兼ねてご用改めを終えた新鮮組一番隊は、駅のホームにいた。
隊員達の口数は少ない。 みんな、疲れきった顔をして電車がくるのを待っていた。
今回は、24対96の惨敗。
相手のチームに、目立った奴がいたわけじゃな い。特別上手い刀使いがいたわけでもない。
「オイ、土方。なんであそこで俺に殺らせなかったんだよ!?」
ホームのベンチに座っていたはさっきの出来事を思い出しながら口を開いた。
あそこで殺しておけば、速攻仕掛けて一気に場の流れが変えれたはず…!と、は考えていた。
「…前半飛ばしすぎてヘバってたヤツに、あの場面で指示なんか出来るかよ」
飲み干して空になった缶を、自販機の横のごみ箱に投げ入れながら、土方が答える。
あの場面で指示したって、スタミナ切れで逃げ出した奴を殺すということなんか成功するはずがない…と、土方は考えていた。
「全っ然ヘバってなんかなかったし!あの時お前が俺に指示してたら、流れが変わってたんだよっ!」
「あ?うるせーな、黙ってろ。単細胞」
「誰が単細胞だコラ!」
「……テメェしか居ねーだろが」