第47章 それぞれの高校
紫原side
「赤ちんとこ行かないんだったら、俺のとこ来てよ」
俺がそう言うとゆかちんはすごく驚いた顔してた
『っそれは無理だよ。それにもう行きたい高校決めてるの』
「ゆかちんが俺のとこ来てくれないなら、俺ゆかちんのこと嫌いになるから」
『あっ君……っ』
「ゆかちんは俺の我儘聞いてくれないの?」
『…その我儘は聞けないよ………』
「……じゃあ、もう俺ゆかちん嫌ーい。あっち行ってよ、ウザいからー」
『っ…ぅん…… 分かった…… 今日は来てくれてありがと』
ゆかちんは泣きそうな顔してた
「はいはい、もーいーからー」
『ぅん…。 あと…あっ君が私を嫌いになっても、私はあっ君を嫌いにはなれないから……ごめんね』
「っ……‼︎‼︎‼︎」
(何でゆかちんが謝るんだよっ‼︎‼︎)
『っ…じゃあ、もう行くねっ……』
そう言ってゆかちんは屋上から出ていった
「こんなのいらねーし……」
俺はゆかちんがくれた袋を抱き締めた
「こんなのいらねーから… ゆかちん頂戴よ……」
(嫌いな訳…ねーじゃん……)
俺の呟きが彼女に届くことはなかった
これが俺とゆかちんとの最後の会話
本当は久しぶりに会えて嬉しかったことも、わざわざマフラーと耳当て用意してくれて嬉しかったことも、ゆかちんのことずっと好きだったってことも、全部伝えることができなかった