第38章 それぞれの想い
赤「友香に…テツヤか? 2人で何をしている? もうすぐ下校時刻だぞ」
赤司君が体育館へ入ってきた
『赤司君……』
黒「赤司君…… 友香さんは僕のシュート練習に付き合ってくれてたんです」
赤「ほう… 珍しいな… シュート練習など……。 だが、もうお前には必要のない練習だろう?」
『っ‼︎ 赤司君何言ってるの⁉︎』
黒「……そうです…ね」
『テツ君……‼︎』
黒「……赤司君はバスケは好きですか?」
赤「……? 質問の意味が分からないな。その感情は勝つために必要か?」
黒「僕は… 分からなくなってきました。 今のバスケ部は以前と明らかに変わりました。赤司君が変わってしまったあの時から…」
赤「僕が変わったからチームが変わったのではない。チームが変わったから僕が変わったんだ。大きすぎる力を無理にまとめようとすれば、お互いに反発し合い内部から崩壊する可能性がある。僕らはもう力を合わせるべきではないんだよ」
『………っ‼︎‼︎』
黒「そんな…… 何を言って……」
赤「大輝とテツヤ、光と影とも呼べるお前達2人でも光だけが強すぎることで合わなくなっていった。それが光と光ならば、結果は火を見るよりも明らかだ」
黒「そんな……」
『…っ…赤司君‼︎』
黒「…勝つこと以上に大事なことはないんですか?」
赤「ない。なぜなら帝光の理念は“勝つこと”だからだ。そのための最善の形が変わっただけで、理念は何も変わってない。ただ少し前までの形がたまたまお前にとって居心地が良かっただけだ。漠然とした理想など無力なだけだ」
黒「……その通りなの…かも…しれないですね……。成長すれば人は変わっていく。…なのに僕は…全中優勝したあの頃にただ必死で戻りたかっただけなのかもしれません」
『自分の理想のために努力することが、何で無力だと言うのっ‼︎‼︎ 無駄な努力なんてない‼︎‼︎ …っ…だからテツ君…』
赤「もし辞めたいのならば止めはしない。あとはお前次第だ。続けたいのならば受け入れろ。この先も帝光のシックスマンであり続けたいのなら」
黒「…………。」
『…っ…テツ君‼︎‼︎』
赤「友香、行くぞ」
私は赤司君に腕を引っ張られ、無理やり体育館から出ることになった