第18章 虹村主将
ミーティングルームの前を通り過ぎようとしたとき、思わず私は立ち止まってしまった
虹「赤司征十郎を主将にしてください」
『‼︎‼︎‼︎』
私はそこから動けなくて、修ちゃんとコーチの話を立ち聞きしてしまった
コーチ「………なんだと? 駄目だ。2年生中心と言ったがそれはあくまで単純に戦略的な意味でだ。スタメンを外れたとしても主将は主将だ。チームをまとめるのは今まで通りお前がやって問題ないはずだ。こうなることも予測された上でお前は選ばれたし、ちょっとやそっとで変えるほど帝光主将の名は軽くはない」
虹「分かってます……。ですが赤司の資質は確実に俺以上です。アイツが主将をやった方がむしろチームのためと思います。それに俺は試合中しばしば熱くなりすぎる時がある。それで皆を引っ張っている部分もありますが、やはり性分とは少し違う気がするんです」
コーチ「………分からんな。思えば去年まだ1年の赤司に副主将をすすめたのもお前だった。赤司の資質については監督も私も感じていたし副主将を例外的に2人にすることに決めた。だが、何故そう急いで赤司に譲ろうとする?」
虹「……………。」
赤「友香?そこで何をしている…?
『征ちゃん………』
ミーティングルームの前で立ち尽くしている私に征ちゃんが話しかけてきた
虹「父が去年の春から入院しています」
私赤コーチ『‼︎‼︎‼︎‼︎』
虹「今はまだ落ち着いていますが、全中の頃にはどうなっているか分からないそうです。けどもし何かあったら…… 試合中ならばそれを放り出して病院に向かいます。 そうでなくても悪化の知らせを受ければ平静にバスケットなどできないでしょう。バスケは好きだし父のことも認めるのが怖かった。………だから今まで言いそびれてきました。本当にすみません。」
コーチ「………分かった。監督にも伝えておこう」
コーチと話し終わった修ちゃんがミーティングルームから出てきて、私と征ちゃんと鉢合わせた