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strategie

第7章 strategie⑦


川崎の言っていることは全て正しかった。

俺もこうなることなんか予想していたはずだ。


しかし実際この状況に置かれてみると、冷静でいられないことに驚く。



どっちかや。

どっちかしか選べへん。




仕事か

ヒロカか。


どっちも取れる程この業界は甘くない。





俺の本当の気持ちはどっちなんやろう。


ピーンポーン
ピーンポーン
ピーンポーン


インターホンの鳴り止まない部屋でたった一人俺は目を瞑って考えた。



俺はいったいなにが欲しいんや。





親元を離れたこと

合宿所ではしゃいだこと

馴染めず苦しんだ学校生活

始めてのコンサート

毎回走り続けた舞台


走馬灯のように今までの出来事がアタマの中を駆け巡る。




すると突然

口にケチャップをつけたヒロカの笑顔を思い出した。



〝二人だったら大丈夫
逃げ続ければ良いのよ。〟






俺の顔がふっと緩むのがわかった。


そういうことやったんやな。



ヒロカ…。


ほんまアホやな。

逃げ続けれるはずないやろ。









でもやってみるか。


飛び込んでみた先が崖かもしれない。

真っ逆さまに落ちて暗闇かもしれない。



でもそれでも良い。


二人で知らない道をフェラーリに乗ってかっ飛ばすのが俺の夢なんや。


ヒロカごめんな。

俺のせいでこんなことになってしもうて。





腹をくくった俺は無敵だった。

少しの罪悪感だけ残して。




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