第6章 strategie⑥
「分かった。別れよう。」
タクヤは濁りのないまっすぐな声でそう言った。
「ごめんなさい。」
「俺はヒロカの芝居に心から惚れてたから本当に残念だよ。そいつとの恋愛うまくいくといいな。」
そういって、今後の離婚の段取りを軽くしてから電話が切れた。
ツー、ツー、ツー、
電話の切れた音が妙に大きく聞こえて頭が痛くなる。
わたしは公園に一人取り残されてぼーっとしていた。
タクヤとは離婚した。
芝居とも縁を切った。
光一には彼女がいた。
全てを一瞬で失ったわたしには借金だけが残っていた。
これで良かったんだ。
全てを中途半端にしていたら自分の精神がダメになっていた。
ぬるま湯に浸かった生活じゃ幸せになんかなれない。
さて、これからどうしようか。
清々しい程の絶望を感じたわたしは、またタバコに火をつける。
フィルターのジュッと焼ける音がする。