第6章 strategie⑥
タバコを一本吸い終わり、灰皿に押し付け火を消した。
もう一本いこうと、蓋を開けると中身がなかった。
最近カートンで買っておいたはずだったのに、もうストックもない。
ここへ来てから吸う量がグッと増えたことに気がつき、やるせない気持ちになった。
家でずっとふさぎ込んでいても仕方がない。
今日は天気が良い。
朝のテレビ番組でアナウンサーの女の人がそう言っていた。
この部屋は年中締め切っていて、今が朝なのか夜なのか分からない。外の世界と完全に区切られていて、現実逃避する場所には最適だった。
しかしわたしは、重い腰をあげてタバコを買いに行くことを理由にして散歩することに決めた。
てきとうな格好であったが、着替えたり化粧するのもめんどくさく、上着を一枚だけ羽織って出掛けることにした。