第5章 strategie⑤
マンションに着くと、俺は急いでクルマからおりて小走りで駐車場を出る。
なにを焦っているのだ。
胸のドキドキが抑えられなくなって、急ぐ足もどんどん速くなっていく。
怖い
怖い
お願いだからどこにも行かないでくれ
ヒロカ
入り口の暗証番号を急いで入力し、エレベーターの17階を何回も連打した。
17階に着いてまた走る。
走る
心の中で何回も何回も彼女の名前を呼んだ
ヒロカ
ヒロカ
ヒロカ
やっと部屋の前に着いて、勢いよく扉を開けた。
ガチャ
そこには俺が一番恐れていた静寂と暗闇が待っていた。