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第1章 strategie



もう何日休みがないだろうか。

俺はマネージャーが運転する車の後ろに乗りながらふとそんなことを思ってしまった。

夜の東京のネオンが輝いて決して眠りにつかせようとはしてくれない。

「え、なんか言いました?」

マネージャーの川崎がバックミラー越しにそう言った。

「え、俺なんか言ってた?」

「いやいや、今なんか言ってましたよ笑」

やばい。

疲れているせいか、頭で考えていることが口に出てしまったようだ。

「あー、いや、何日休んでないっけなあー、と思って。」

「あー、それ考えちゃダメですよ。ドラマ撮り終わるまで休みないって考えて下さい。」

「いや。別に休みたいわけじゃないんだけど。」

川崎は苦笑いしながらそうですか。とかなんとか言いながらまた運転モードに戻っていった。


休みたいわけじゃない。

休みができたところでなにをしたいわけでもないし、行きたいところなんて勿論ない。

しかし

さすがにここのところいろいろな仕事が重なって疲れた。

ドラマの撮影。

主題歌の作成。

主題歌を使ったソロのコンサートの打ち合わせ。

それにKinKiとしての仕事も。


車に乗っていると変な感覚に襲われる。

自分が止まっているのにまわりの景色がビュンビュンと移り変わっている。自分はなにも変わっていないし進んでいないのに、時代も景色も全く違うものになってしまう。
浦島太郎みたいな感じ。

あー。

俺やっぱり疲れてる。


外の景色から目を逸らすように、俺は無理して目をつむった。
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