第2章 strategi②
朝目覚めると隣に男が寝ていた。
その男はわたしの憧れでずっと心のアイドルだった人。
わたしは自分の頭がおかしくなってしまったのではないかと思い、タバコに火をつけた。
夢なんかじゃない。
これは現実だ。
昨日の夜確かに舞台を終えて、堂本光一の家にいき、身体を重ねて、今彼の横でタバコを吸っている。
頭がクラクラした。今でもどこか浮かれている自分に嫌気がした。
わたしは急いで服を着てもうこんな夢を見まいと自分に言い聞かせ、部屋をあとにしようとした。
すると、
「どこ行くん?」
「あ…起きてたんですか…!」
わたしはびっくりして、どこかよそよそしい態度をとる。昨日あんなに激しく体を重ねても、相手はトップアイドルでそう簡単に距離を縮められるわけない。
「帰るん?」
「あ、はい!今日も舞台ありますので。」
「何時から?」
「…19時からですけど。」
「稽古あるん?」
「…ないです。」
明らかに避けてるわたしの態度に少し怒ってるようであった。わたしは怖くなってどんどん声が小さくなる。
「…ならコーヒーくらい飲んで行けよ。」
「え、良いんですか?!!」
光一は声をあげて笑った。
「なんやそれ!」
ずっと憧れだった堂本光一と一緒にコーヒーが飲めるなんて夢みたい。
さっきまでココロに決めた約束なんてどっかいってしまった。