第8章 strategie⑧
「でもそれもきっとあかん。間違ってる。」
ヒロカは瞬きせずに息をのんだ。
「ヒロカには才能がある。
絶対天下とる。
俺が保証する。
もしスキャンダルがあのスキャンダルが正しくて、ヒロカに借金があったとしても、そんな額すぐに返せるくらいや。
俺はずっと独り占めしたかった。
今でも正直そう思ってる。
でもそれじゃあダメだ。
また同じことの繰り返し。
ヒロカはずっと大きな鉛を背負ったまま生きていかなきゃいけないんや。」
前の旦那と同じになんて俺はなりたくなかった。
「だから、自分のチカラで天下とって、借金返済して俺とヒロカが同じステージに上がったら、その時また俺と会ってくれ。
全部捨ててどっか逃げるのでも良い。
仕事お互い続けながら付き合っていくのも良い。
結婚だってできる。」
それまでの間は会えなくなる。
ヒロカが俺と同じステージに上がれない限り世間は認めてくれない。
仕事とヒロカ両方得ることはまだできない。