第5章 three
きっとこの人は強い 少しでも油断したらだめだ
あちらがクインケを出すと同時に私も羽赫を出し、足に力をいれ相手に襲いかかる。
大きいクインケを持っているくせに、動きが早いし、威力がすごい。
「はぁぁっッ‼︎」
クインケが私の足にかする。
「..ッ‼︎」
その瞬間一旦距離を引く。
「なんだ⁉︎そんなものなのか⁉︎」
体格のいい男が言う。
やっぱり強い...自分の弱さが少しわかるな。
男が飛びかかってくる。
「ッハァッ!」
避けて一撃いれるがかわされる
やばい‼︎
そう思った時には遅かった。相手のクインケが私の背中を打つ。
「ぅあッッ⁉︎」
「あまり戦い慣れていないな...残念だが、お前はここで死ぬんだ。」
倒れた私に近寄り、そして見下す。
「人間を意味なく無惨に殺し、そして喰らう。この世界を歪めているのはお前達だ。」
そう言い、クインケを私の顔の上に上げる。
私はまたまだ弱かった
今日は負けだ。この人は強い。
だけど、私はここでは死ねない
「お兄さん強かったよ。でも、私はまだここでは死ねない。人間が1番正義だと思い、そのクインケを振り回すことを否定はしないけど
人間は正義なんかじゃない 正義はどこにもないんだよ。喰種が1番世界を歪ましているのだと思うなら、それはまだ甘い考えだよ
もっと広い目で見てみて
この世界を 」
そう言ってから体制をもどし、相手の足に自分の足をかけると、相手をこけさせる。
「...この世界は、お兄さんが思っているよりもっと厳しい。」
立ち上がると、私は体を逆に向ける。
「もっと強くなるから、それまで待っててね。」
そして、踵を返してもと来た道を走り帰る。
うしろを少しちらっと見ると、あの男が少し驚いたような顔をして立っていた。