第5章 three
夢を見た
すごくすごく幸せな夢
優しい笑顔をした母がいて
手を優しく握ってくれる父がいて
そして、その間に挟まる私がいる。
その横を通り過ぎる人々。
みんな笑顔
みんな幸せ
みんな生きてる
でも、私達の横を通り過ぎる人達は
みんな...
"人間"
通り過ぎる人達の中に喰種捜査官がいる。
もうすぐ私達のところにくる
(お父さん、お母さん逃げなくちゃ)
声を出したいけど出せない
だんだん距離が近づく
3m..2m..1m...
なのに私の体も口も動かない。
そして、喰種捜査官は父と母の腕を引っ張り連れて行く。
やだ、いかないで
私を1人にしないで
まだ、なにも知らないよ?
喰種の事も、人間の事も全然知らないよ?
その思いは虚しく、父と母は暗闇に消えていく。
置いてかないで....