第3章 red sickle
私達はマダムの眠る墓から少し行ったところに向かった
シ「――アンダーテイカー終わったか」
ア「もちろん。小生がしっかり綺麗にして埋葬してあげたよ。ほら」
アンダーテイカーの示す先にはひとつの墓…墓に彫られた名は…[メアリ・ジェーン・ケリー]
『…!』
その名前には見覚えがあった。だってこの名前は…
ア「切り裂きジャック事件最後の“お客さん”だよ」
シ「国外からの移民だったらしい。遺体の引き取り手が見つからなかった」
ア「だから優しい伯爵は名もない娼婦のお墓を建ててあげたんだよねェ~」
シ「優しくなどない。…僕は“わかって”いたんだ。この女を助けてやれないということを。あの夜、この女の命を第一に考えるなら助ける方法はいくらでもあった。だが僕は“そう”しなかった。助かる可能性をわかっていながら、切り裂きジャックを捕らえることを優先した。僕は助けられないのを“わかってた”わかっていて見殺しにした。肉親さえ…」