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Swear to you...

第7章 Secret Circus


私達は予定通り一時間程で男爵邸に降り立った。
ファントムハイヴ邸と同様、郊外のためか近くには建物は無いようだ。
…此処ならば子供達を隠しておくには丁度いいのだろう。

「ここが奴の屋敷か」
「ええ」

私達はそれぞれ降ろされると屋敷を見上げた。
「どうだ、臭うか?」
セバスチャンは煙突の一つを睨むように見ると坊っちゃんの問いに答えた。
「ええ。全員かどうかはわかりませんが、皆さんご無事のようですよ」
無事…その言葉に一時の安堵を覚えていると私の背後に立つ悪魔の声がした。
「………嫌な臭いが混じってやがる……じゃ、姫サマ。なんかあったらまた喚べよ」
片手を上げリオンは闇へと溶けていった。
それと同時に目の前の扉が開き、中から男が一人登場した。

「当家へようこそ。お待ちしておりました。ファントムハイヴ伯爵」

男に見覚えがあった。
あの特徴的な骨の手、この男は…。
「ジョーカー…」
坊っちゃんが男の名を口にした。
あのサーカスで司会をしていたあの男だ。
「どうぞお入りください」
ジョーカーの言葉に従い私達は男爵邸へと足を踏み入れた。
中は暗かったがジョーカーが指を鳴らすと蝋燭に灯が灯り、見えた光景に驚愕した。
壁や天井、至るところに美しかったであろう人形達が無惨な姿で飾られ吊るされていた。

「こちらです」

ジョーカーに誘導されるがままに階段を上がっていく。
するとセバスチャンが坊っちゃんの耳に顔を寄せ話し始めた。
「どう致しますか?彼を殺して今すぐ子供を救出しに?」
「待て。まだ子供達が生きているならまずは頭から抑えた方がいいだろう。奴の目的と実状を把握しなければ女王陛下に報告もできないしな」
「かしこまりました」
話し終わると前方から小さな笑い声が聞こえた。

「人は身かけによらへんってホンマやったんやね。あんさんそんな小っこい体で、芸名が【女王の番犬】で【悪の貴族】か。難儀やなぁ、スマイル。…それとそっちのあんさんは初めましてやけど、“それ”って生まれつきなん?それとも…「黙れ」」
「僕の名前はシエル・ファントムハイヴ“伯爵”だ。使用人が気安く声を掛けるな」
私から視線を外すとジョーカーは大袈裟に肩を竦めて見せた。
「…確かに。“お貴族様”どすな」
扉の前で立ち止まると顔を引き締めドアノブに手をかけた。
「晩餐の準備が整っております」
決着はもうすぐ。
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