第7章 Secret Circus
坊っちゃんは用意した食事を残さずにお食べになり、着替えのために私は背を向けた。
「4時頃タナカさんよりお電話がありまして、本邸の方にエリザベスお嬢様がいらしているそうです」
坊っちゃんが着替えている途中で私はタナカさんから連絡があった内容を報告した。
「なっ何故それを早く言わない!?」
「申し訳ありません。坊っちゃんにゆっくりお食事を召し上がって頂きたかったので」
私は謝罪と本音を口にし後はセバスチャンが引き継いだ。
「よく噛まなくては栄養の吸収率も下がりますし…」
「おい!あの平和ボケコンビの受け売りも大概にしろ」
「エリザベスお嬢様は坊っちゃんにお会いになられるまでご自宅にお戻りになる気がないそうなので、お早いお戻りをとの事です」
お嬢様のことですから今頃本邸はファンシーなお嬢様好みに作り替えられてるでしょうね…。
「ったく…ケルヴィン男爵の屋敷は調べてあるんだろうな?」
「ええ、時間がたっぷりありましたので。ロンドンから鉄道と馬車を乗り継いで丸一日といったところですね」
いつの間に調べたのか…、いや、坊っちゃんがお休みになっている間にだ。
「お前達なら一時間とかからず行けるな?」
「ご命令とあれば」
坊っちゃんは今お前“達”と言った…?
それはつまり……。
「ネイラ、今回はお前も来い。男爵について情報はあった方がいい。…あと、デザート、うまかった」
「っ…はい…!」
これで私も坊っちゃんのお役に立つことができる。
不謹慎なのはわかっているが正直に言ってしまえばとても嬉しいと思う。それに私が作ったものだと坊っちゃんはわかってくれた。それも私の喜びの一つだ。
「さっさと終わらせて本邸に戻るぞ」
「「イエス・マイロード」」