第7章 Secret Circus
「お帰りなさいませ。坊っちゃん、セバスチャン」
三人でお二人を出迎えた。
坊っちゃんはセバスチャンに抱き抱えられ、顔が赤く咳き込んでいた。
…まさか…!
「お前は俺になんの連絡もなしに2日もどこに行っていたんだ!!あと少しで捜索願いを出すところだったんだぞ!!」
「お前には関係ない、ゴホッゴホッ」
私は坊っちゃんのことで頭が一杯になった。坊っちゃんは大したことはないと言うが、そんなはずがないのだ。
そのまま部屋へと向かう二人を追う。
本当に心配なのだ。セバスチャンの片方の手に手袋をしていないのに気付かない程に。
「大したことなくはないだろう。お前絶対に風邪を引いてるぞ。熱があるんじゃ…」
「ない!平熱だ」
ソーマ様の叫ぶ声を背中で聞きながら私は厨房でタオルとお湯を用意する。
準備しているとセバスチャンが入ってきた。
「さすがネイラですね。行動が早い」
「………坊っちゃんは、喘息、ですか?」
「ええ、やはり貴方はわかっていましたか。何故黙っていたのです?」
「すみません。てっきり知っているものだと…それよりも、その手、どうしたのですか?」
「…ああ、これですか。少々汚してしまいまして」
水が沸騰したのを確認し坊っちゃんの待つ部屋へと急いだ。