第7章 Secret Circus
包み終わったものを油であげる。それは比較的に簡単なものだった。
そしてメインとなる料理はもちろんカリー。これは私が手伝うことはできない。
それをソーマ様にお出しして、その後はバスタイム。アグニさんがソーマ様の準備の間食器を洗い片付ける。
「ネイラ殿、片付けて下さってありがとうございます」
「いえ、当然のことですので」
「では私達もいただきましょう」
アグニさんが作ったカリー…初めて食べるな。
スプーンで掬って口に運ぶ。
香辛料のスパイシーな香りが鼻から抜ける。
「お口に合いますか…?」
目の前に座るアグニさんが心配そうに顔を覗き込んでくる。
「もちろんです。とても美味しいです」
それは良かった、とアグニさんは頬を緩めた。
私はずっと坊っちゃんに仕えてきた。だから坊っちゃんのお口に合うものしか作ったことがない。
でも、坊っちゃんが大人になったときの為に覚えておくのも良いのかもしれない…。
「ネイラ殿、先に入浴なさってください」
「…しかしまだ明日の準備も終わっていませんし…」
「良いのです。明日もソーマ様のお相手になっていただくのですから」
「………はい。ありがとうございます。先にいただきます」
アグニさんは本当に優しい。
私のことを気づかって言ってくれたのだろう。なら、気持ちを切り換えて明日も頑張らなければ。
坊っちゃんの為に。