第7章 Secret Circus
「誰があそこまでやれと言った?」
テントの外に出てすぐ、坊っちゃんは確実に怒気を含んだ声色でそう言った。
「申し訳ありません。長い間生きていますが、猫だけは本当に気まぐれで気分が読めませんね…」
坊っちゃんがお怒りの原因を作った隣を歩く男は非常に満足気で…
まったく、本当に何を考えているのか…
坊っちゃんは猫アレルギーだというのに。
「………大体必要以上に目立ってどう…へくしっっ」
「!坊っちゃん、大丈夫ですか?」
「ああ…お前、僕が猫アレルギーなのを知っているだろう!離れて歩けッ」
セバスチャンが私と坊っちゃんから距離を空け、歩き出したときに一人の男性がセバスチャンに声をかけた。
先に歩いていた私達はそれに気付き、物陰に隠れた。
セバスチャンに声をかけた男性はジョーカーだった。周りにまだ人が多く所々の内容しか聞こえないが、テントの内部に案内する、というところだけはわかった。
セバスチャンは坊っちゃんと目配せをし、ジョーカーの後に付いていった。
私達はそれを見届け、馬車に向かった。