第7章 Secret Circus
「さぁこちらへおいでやす!」
「行ってこい」
坊っちゃんはサーカスの関係者達に接触するチャンスと思ったのか、セバスチャンに許可をお出しになりましたが…ステージ上の猛獣、もとい、虎は確か…
「じゃあ、あんさんはこっちで寝ぞべってくれはりますか?…あ?」
セバスチャンはジョーカーの言葉を無視して、虎を…愛で始めた。
虎は猫科…セバスチャンの愛する“猫”…
私は全てを諦め、心の目を閉じることにした…
「見た事も無い鮮やかな縞模様、柔らかい耳…とても愛らしい」
この光景に会場中が茫然と見ていた。
「おや?少々爪が伸び過ぎている様ですね。お手入れをしなくては…肉球もふくよかでとても魅力的ですよ。あ」
虎がセバスチャンの頭に齧りついた瞬間、客席の至るところから悲鳴が上がった。
「ベティ!そいつを離しな!!」
猛獣使いの女性の方が持っていた鞭で止めようとしていたのをセバスチャンが鞭を掴み制止した。
「彼女に罪はありませんよ。あまりの愛らしさに私が思わず失礼をしてしまっただけ。それに、むやみに鞭を振るうだけでは躾は出来ませんよ」
そう言い、手にある鞭に唇を落とす。
が、よほどセバスチャンの頭が気に入ったのか、後ろからまた虎がセバスチャンの頭に噛みついた。
「ベティ!!ペッしなペッッッ!!」
「おやおや、おてんばさんですねぇ」
その後はもう阿鼻叫喚宛らで…調査に来たと言えど、サーカスの皆様には申し訳ないことをした、と心から思います。
そして、私の初サーカスの感動を返して欲しい。