第7章 Secret Circus
葬儀屋を後にした私達は馬車に乗り込み、その足でサーカスが開かれている場所まで来た。
そこは大人から子供まで人で溢れかえっていた。
もちろん私はフードを目深に被り直し、坊っちゃんの後ろについていく。
「ここか」
奇抜な姿をした男女が風船やチラシを配っているを横目に、私達は奥にある一際大きなテントの中に入った。
「見たところ、なんの変哲もないように見えるが…」
坊っちゃんの両隣に私達は腰を下ろす。
テントの中は真ん中のステージを囲むように客席が作られていた。
そして天井には大きなシャンデリアとテントの端と端を繋ぐように伸びたロープが一本。
正直、私はサーカスというものを一度も見たことがない。
だから、調査と言えど心の何処かで楽しみにしている自分がいた。
そんなことを思っているとテントの中の照明が落とされ、ステージに立った一人の男性がライトに照らされた。
「レディス、エンド、ジェントルメーン!お嬢はん、アンド、旦那はーん!本日はノアの方舟サーカスにようこそおこしやした。ウチはジョーカーと申しまんねん。どうぞお見しり…あてっ」
自己紹介しながら掌サイズのボールでジャグリングを始めたが、頭にボールを落としてしまう…という演出らしい。
ただ、私はそのジョーカーと名乗った人の右手が気になった。何故なら彼の右手は骨だったからだ。