第5章 幸せって?
ジャーファルSIDE
「どうしてもですか?」
「はい。譲りませんよ?」
言葉は少ないけれど、部屋の威圧感は互いに増していくばかり。
「なぜですか?」
「なぜって・・・。好きだからに決まっているでしょう?」
「あなたは・・・セリシアを幸せにできるとお思いですか?」
「?」
幸せにできると思うかって・・・。
それは、少し痛い質問だった。
「セリシアはあなたと一緒になって、幸せになれるのでしょうか?仕事に追われるような政務官と。」
それはそうだけど、副政務官の彼女だって仕事はある。
「女性が好きな人に求めることってなんだと思います?」
答える前に彼は答えた。
「ふたりで一緒にいることだと聞いたことがあります。一緒に会話して、一緒に行動して。あなたとセリシアは政務の仕事におつきですから、一緒に行動することはあるでしょう。でも、それは部下と上司の間柄になるでしょう?恋人らしいことなんて、何もできないのでは?」