第5章 幸せって?
ジャーファルSIDE
「何か、お困りですか?」
誰かの声がして、そっちを振り返った。
「あなたは・・・。」
「カルマです。ウィリランデ王国の王子です。」
「ええ、もちろん覚えておりますよ。」
午前中に思いっきり会っているのだから。
まあ、シンとの会話をずっと聞いていただけだし、向こうは憶えてないでしょうね。
「それで・・・。どうかしたのですか?悩み事があるように見えますよ、政務官殿。」
「覚えていたのですか、私のこと。」
「ええ。特にあなたとはこの国に来た時から顔を合わせていますから。」
「そうでしたか・・・。」
「ええ。・・・それで?何か悩みがあれば乗りますけど。」
悩みって、これは他国の人にやすやすと相談できる内容なのだろうか?
答えは否、だろう。
「お気持ちだけ、ありがたくいただきます。では、これで・・・。」
「あ、ちょっと待ってください。」
何か、あるのだろうか?