第4章 国王と話すこと
ジャーファルSIDE(回想)
「・・・その王女と話をさせてほしいのです。」
少しの間、沈黙が訪れる。
それをやぶくのもまた、王子だった。
「敗戦国が出過ぎたマネを、と思うのは承知の上です。」
次の沈黙を破ったのはシンだった。
「王子。誰のことを指しているかはわからないが、そう言った情報をどこで仕入れたんだ?」
セリシアのことは知らないふりをする気ですか?
ですがそれならそれでもいいでしょう。
「わが国にも遠距離で通信する術はあります。戦中に通信で知らせていただきました。」
そうだったのか。
船からは見つからなかったから、海にでも捨てたのか。
「・・・いるのはわかっています。本当は知っているのでしょう、その人の素性を。・・・粘りますよ、僕は。」
隠すべきか、打ち上げてしまうべきか。
彼が何を話すのかは知らないけれど、どうする、シン。
「・・・ジャーファル。呼んで来い。」
「はっ。」
やはり、呼びますか。
セリシアが何と言おうと、そばで見守ってようかな・・・。
「ありがとうございます。」