第26章 行ってらっしゃいとおかえり
ジャーファルside
「…気のせいですよね、セリシアの声が聞こえるなんて。疲れてるのかな。」
この場所だからだろうか?
まあ確かに忙しく働いてはいたけれど。
倒れるわけにはいかないし、そろそろちゃんと寝た方がいいのですかね…。
…って、やはりおかしい。
バッ
一瞬視界の端に何かが見えて勢いよく顔をあげる。
気のせいだと良かったけど、空から何かが来る。
なんだ?
視認できる、つまり既に結界の中だ。
どういうことです?
アラジンは走ってる、ヤムライハが外に出るなら朝議の時に何か言うはず。
他の魔法使いにしてもそうだ。
なんの報告もされていない…。
「…ここじゃダメだ。」
対処…もし戦闘になるとしてもこの場所では対処しにくい。
もっと見晴らせる場所に行かなくては。
…くそ、近づくのが早いな。
人を呼ぶ時間はないだろう…だが、さすがに誰かしら気づけるだろう。
特にマスルールあたり。
「…あ…れ?」
屋根に飛び移り王宮の中でも高いところへ移動している最中、確認しながらだった。
まさか。
そんなわけない、ないはずなのに。
「……うわっ」
上に気をとられ、足を滑らせ屋根から落ちそうになる。
といってもまあ、落ちるわけがない。
バッと鏢縄を使い屋根に戻る。
今度は止まってしっかりと、見た。