• テキストサイズ

【マギ】幸せを願って。~亡国の姫~

第26章 行ってらっしゃいとおかえり


ジャーファルside


「感謝の言葉なんて、多すぎるよ。」

少しずつ、声が涙声になっている。

「…我が儘で、すみません。」

そんなことはない。
でも、今彼女の言葉を遮るのは違う。

「でも、そんな…そんな私に、その…居場所を与えてくれて、ありがとうございます…!」

区切りながら、涙声で。
最後は一気に言い切った。
泣きながら、笑おうとしているセリシア。

「私達こそありがとうよぉ!!」

泣きながら応えるヤムライハ。

「与えたなんてものじゃないよ。むしろ居場所に選んでくれてありがとだよ!」

涙目だけど、セリシアにはっきり伝えるピスティ。

「…お前が弟子で良かったよ。」

そして口を開けば泣いてしまいそうなシャルルカン。
セリシアはシャルルカンを見て、大きく頷いた。
そして。

「…シンドバッドさん。もしもシンドリアに危機が訪れることがあるのなら、私、必ず来ます。」

「…期待しているよ、セリシア。…そんなことにする気は無いけどな。」

「ええ、そうでしょうね。」

危機が無くたって、いつ来てもいい。
逃げたくなったらいつだって匿ってあげる。
そう思うけど、それは彼女のためにならないことも分かってる。
…私はもう、喋らない方が良さそうだ。
引き留めてしまう、彼女のためにならない言葉しか出せそうになかった。
/ 369ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp