第26章 行ってらっしゃいとおかえり
ジャーファルside
「感謝の言葉なんて、多すぎるよ。」
少しずつ、声が涙声になっている。
「…我が儘で、すみません。」
そんなことはない。
でも、今彼女の言葉を遮るのは違う。
「でも、そんな…そんな私に、その…居場所を与えてくれて、ありがとうございます…!」
区切りながら、涙声で。
最後は一気に言い切った。
泣きながら、笑おうとしているセリシア。
「私達こそありがとうよぉ!!」
泣きながら応えるヤムライハ。
「与えたなんてものじゃないよ。むしろ居場所に選んでくれてありがとだよ!」
涙目だけど、セリシアにはっきり伝えるピスティ。
「…お前が弟子で良かったよ。」
そして口を開けば泣いてしまいそうなシャルルカン。
セリシアはシャルルカンを見て、大きく頷いた。
そして。
「…シンドバッドさん。もしもシンドリアに危機が訪れることがあるのなら、私、必ず来ます。」
「…期待しているよ、セリシア。…そんなことにする気は無いけどな。」
「ええ、そうでしょうね。」
危機が無くたって、いつ来てもいい。
逃げたくなったらいつだって匿ってあげる。
そう思うけど、それは彼女のためにならないことも分かってる。
…私はもう、喋らない方が良さそうだ。
引き留めてしまう、彼女のためにならない言葉しか出せそうになかった。