第26章 行ってらっしゃいとおかえり
ジャーファルSIDE
「…今までお世話になりました。」
キユノ王国の"王女"としてのくどくどとした言葉(多分考えたのはセーカさん)の後、セリシアとしての言葉の最初はそれだった。
「王女としての言葉は終わりっ。…私、この国に来れて良かった。」
王も私も八人将も。
全員そろってセリシアの目の前に並んでいる。
こんな光景、見る人が見ればどれだけ珍しいかわかるだろう。
もっとも彼女が気づいているかはわからないですが。
「いろいろやらかしたし迷惑ごとも持ち込んだのに、大人の対応ありがとう。年齢そんなに変わらないのに子供だったなーって今は思うよ。」
日々を思い出してつい口角が上がる。
確かに最初の頃は子供という認識があった。
いつのまにかそうではなくなっていたけれど。
「まあ今も大人では無いけど…それでもその、仲間と思ってくれてありがとう。私多分幸せだったと…ううん、幸せだよ。」
貴女が仲間だということで幸せになれたのは、私たちも同じ。
すでに涙目のヤムライハとピスティはもちろん、シャルルカンもマスルールも、というか…八人将のみんなが思っているだろう。
…もっというなら、おそらく国民にも。
それだけ大きな存在になっていたことを、彼女は気づいていないだろうな。