第26章 行ってらっしゃいとおかえり
ジャーファルside
「それではこの案件を担当の者にお願いします。」
「はっ、かしこまりました。」
確認して修正箇所を書いたとある案件の報告書。
それをちょうど部屋を通りかかった別の文官に、担当者に渡すように頼んだ。
「ふぅ…とりあえずは片付いたかな…。」
まだまだあるけれど、これで期限が切れたものは終えられたはずだ。
「休憩にしましょうセリシア…は、いないんでしたね。」
彼女がこの国を去ったのはもうだいぶ前の話。
あの後私とシンとマスルールでバルバットへ出向いた。
出向いたというか、私は気付いたら船の上だったのだが。
まさか酔っている時に連れて行かれるとは思いもしなかったものだ。
しかも無理矢理酔わされたに等しい。
「半年…いや、1年…は経たないか。」
今はすでにバルバットから帰ってきていて、シンも数日前に帰ってきた。
元気の無いアリババくんとアラジンにいきなり運動しろだなんて…シンも酷いものだ。
「…頑張ってますね。」
なんとなく出向いたあの場所…彼女も好きだと言っていたあの場所。
そこからアリババくんとアラジンが走っているところが見えた。
「…貴女も頑張っているのでしょうね、セリシア…。」